ワインのコルクとスクリューキャップ|スクリューは安物ではない

「スクリューキャップだから安いワイン」——これは、もう成り立ちません。
ニュージーランドやオーストラリアでは、高価格帯のワインでもスクリューキャップが標準です。フランスでも早飲みの白を中心に広がっています。栓で変わるのは品質ではなく、酸素をどう入れるか=熟成の設計です。
スクリューキャップが広まった理由=ブショネ
いちばんの動機はブショネ(コルク臭)を避けることでした。
ブショネとは、コルクに由来する成分(TCAなど)がワインに移り、濡れた段ボールやカビのような香りがついてしまう現象です。天然コルクの数%に起こると言われます。数%と聞くと小さく思えますが、100本仕入れれば数本は本来の姿を見せられないということで、造り手にとっては深刻な問題です。
ブショネは飲んでも害はありませんが、果実の香りが覆われてしまいます。もし「なんだかカビ臭い」と感じたら、それはあなたの好みの問題ではないかもしれません。購入した店に相談すると対応してもらえる場合があります。相談しやすい店の選び方も参考にしてください。
栓の種類と、それぞれの設計思想
| 栓 | 酸素の通しやすさ | 向く飲み方 | ブショネのリスク | 再栓 |
|---|---|---|---|---|
| 天然コルク | ごくわずかに通す | 長期熟成させる | あり(数%と言われる) | しにくい |
| スクリューキャップ | ほとんど通さない | 買ってすぐ〜数年で飲む | ほぼなし | 簡単 |
| 技術コルク(DIAM等) | グレードで調整できる | 中期熟成まで | ほぼなし | しにくい |
| 合成コルク | 比較的通しやすい | 早飲み | なし | しにくい |
| ガラス栓 | ほとんど通さない | 早飲み〜中期 | なし | 簡単 |
※表は横にスクロールできます。同じ種類でも製品によって酸素透過性は調整されています。
ポイントは「酸素をどれだけ通すか」の一点です。
- 天然コルク:ごく微量の酸素を通し、それが長期熟成に寄与すると考えられています。10年20年と置くワインに使われるのはこのためです。
- スクリューキャップ:酸素をほとんど通さないので、フレッシュさをそのまま保つのが得意。アロマティックな白(リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン)と特に相性がいいとされます。
- 技術コルク(DIAM等):コルクを砕いてブショネの原因物質を除去し、固め直したもの。天然の風合いを保ちながらリスクをほぼ消せるので、名だたる生産者も採用しています。
- ガラス栓:見た目が美しく再栓も簡単。コストが高いため一部の生産者に限られます。
家で飲むなら、スクリューは素直に便利
実用の話をすると、飲み残す前提ならスクリューキャップが圧倒的にラクです。工具がいらず、確実に締め直せる。平日の1杯にはこの手軽さが効きます。
コルクを開けたあとに残す場合は、栓が膨らんで戻しにくいので、真空ポンプや保存用キャップがあると安心です。栓の種類にかかわらず、開けた後は冷蔵庫で立てて保管が基本になります。詳しくはワインの保存方法へ。開け方そのものは適温と飲み方にまとめています。
栓を見て何がわかるか
棚の前で栓を見たら、こう考えるとだいたい合っています。
- スクリュー:買ってすぐ〜数年で飲んでほしい、と造り手が考えている
- 天然コルク:置いて育てる余地がある、あるいは伝統的な産地の作法に沿っている
つまり栓は「いつ飲んでほしいか」という造り手からのメッセージです。値札ではありません。ちなみにボトルの形にも同じように理由があります。あわせて見ると、棚の解像度がもう一段上がります。
あわせて読みたい:ワインボトルの形で産地がわかる / ワインの保存方法とセラー入門 / ラベル(エチケット)の読み方
※味わいの傾向や由来については、広く語られている一般的な説明を紹介しています。例外もあります。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
よくある質問
スクリューキャップのワインは品質が低いのですか?
いいえ。ニュージーランドやオーストラリアでは高価格帯のワインでもスクリューキャップが標準的に使われています。栓の違いで変わるのは品質ではなく、酸素の入り方=熟成のさせ方の設計です。
ブショネ(コルク臭)とは何ですか?
コルクに由来する成分(TCAなど)がワインに移り、濡れた段ボールやカビのような香りがついてしまう現象です。天然コルクの数%に起こると言われます。飲めないわけではありませんが、果実の香りが覆われて本来の姿がわかりません。購入店に相談すると対応してもらえる場合があります。
コルクとスクリュー、どちらが長期熟成に向きますか?
一般に天然コルクです。コルクはごく微量の酸素を通し、それが長い年月をかけた熟成に寄与すると考えられています。スクリューキャップは酸素をほとんど通さないため、フレッシュさを保つのに向きます。ただし近年はスクリューでも酸素透過性を調整した製品があります。
DIAM(ディアム)とは何ですか?
コルクを細かく砕き、ブショネの原因物質を取り除いてから固め直した「技術コルク」です。天然コルクの風合いを保ちながらブショネのリスクをほぼ排除でき、酸素の通しやすさもグレードで選べます。名だたる生産者も採用しています。
家で飲み残す前提なら、どちらが便利ですか?
スクリューキャップです。工具なしで開けられ、そのまま確実に締め直せます。コルクの場合は栓が膨らんで戻しにくいので、真空ポンプや保存用キャップがあると安心です。いずれの場合も冷蔵庫で立てて保管してください。