ワインのぶどう品種|赤5・白5の早見表と日本の品種、合う料理

ワイン売り場でラベルを眺めて、「カベルネ」「シャルドネ」といった言葉がなんとなく読めるようになると、ワイン選びは一気に楽しくなります。なぜなら、ぶどう品種はワインの味わいを決める最大の手がかりのひとつだからです。同じ赤ワインでも、品種が違えば渋みの強さも香りもまったく別物。逆にいえば、品種さえ押さえておけば、初めての1本でも味の見当がつくようになります。
とはいえ、世界には数えきれないほどの品種があり、全部を覚える必要はまったくありません。ワイン初心者の方は、まず赤5品種・白5品種の計10品種だけで十分。この10品種は世界中で広く栽培されていて、ワインショップの棚でも出会う機会が多い定番ばかりです。
この記事では、それぞれの品種について「味わい」「代表産地」「こんな人に」の3点だけに絞った早見形式でご紹介します。最後に、覚えた品種を実際の店選び・ワイン選びに活かすコツもまとめました。
早見表:赤5・白5をひと目で
それぞれの説明に入る前に、10品種の位置関係をまとめます。渋み・酸の強さは産地や造り方で変わるため、あくまで品種そのものの傾向です。
| 赤の品種 | 渋み | 香りの方向 | 合いやすい料理 | 代表産地 |
|---|---|---|---|---|
| カベルネ・ソーヴィニヨン | 強い | カシスなど黒い果実 | ステーキ・焼肉 | ボルドー、カリフォルニア、チリ |
| シラー | 強い | 黒胡椒のスパイス | スパイス料理・バーベキュー | ローヌ、オーストラリア |
| メルロー | 中くらい | プラムの柔らかい果実 | 鶏・豚のロースト | ボルドー右岸、チリ、長野 |
| ピノ・ノワール | 穏やか | イチゴ・チェリー | 鴨・きのこ・和食の煮物 | ブルゴーニュ、ニュージーランド、オレゴン |
| ガメイ | 少ない | フレッシュな果実 | 生ハム・サラミ・軽い前菜 | ボージョレ |
| 白の品種 | 酸 | 香りの方向 | 合いやすい料理 | 代表産地 |
|---|---|---|---|---|
| ソーヴィニヨン・ブラン | 強い | ハーブ・柑橘 | サラダ・魚介の前菜 | ロワール、ニュージーランド |
| リースリング | 強い | 華やかな花と蜜 | エスニック・アジア料理 | ドイツ、アルザス |
| 甲州 | 中くらい | 穏やかな柑橘、後口に苦味 | 刺身・天ぷら・和食全般 | 山梨 |
| シャルドネ | 造り方による | 樽ありはバター、樽なしはミネラル | 樽ありはクリーム系、樽なしは焼き魚 | ブルゴーニュ、カリフォルニア |
| ピノ・グリ | 穏やか | 洋梨の厚みのある果実 | 白身肉・根菜のグラタン | アルザス、イタリア北部 |
※表は横にスクロールできます。合う料理は、渋み・酸・香りの方向から見た目安です。
赤ワインの主要品種:まずはこの5つ
赤ワインの個性を大きく左右するのが、渋み(タンニン)の強さと果実味の方向性です。濃厚な順ではなく、知名度と出会いやすさを基準に5品種を選びました。
カベルネ・ソーヴィニヨン
- 味わい:しっかりとした渋みと濃い果実味を備えた、フルボディ赤ワインの王道品種。カシスなどの黒い果実を思わせる風味が特徴とされます。
- 代表産地:フランス・ボルドー、アメリカ・カリフォルニア、チリなど世界中で栽培される国際品種です。
- こんな人に:飲みごたえのある濃い赤が好きな方、ステーキなど肉料理に合わせたい方に。
ピノ・ノワール
- 味わい:渋みが穏やかで、イチゴやチェリーのような赤い果実の華やかな香りときれいな酸が魅力。繊細でエレガントな味わいの代名詞です。
- 代表産地:フランス・ブルゴーニュが聖地。ニュージーランドやアメリカ・オレゴンも評価が高い産地です。
- こんな人に:渋い赤が苦手な方、香りをゆっくり楽しみたい方に。赤ワイン入門にもおすすめです。
メルロー
- 味わい:まろやかな渋みとふくよかな果実味のバランス型。プラムのような柔らかい果実感があり、角の取れた飲み心地といわれます。
- 代表産地:フランス・ボルドー(とくに右岸)、チリ。日本でも長野県などで栽培されています。
- こんな人に:濃すぎず軽すぎない、ちょうどいい赤を探している方に。
シラー
- 味わい:黒胡椒を思わせるスパイシーな香りと、力強い果実味が特徴。色も濃く、パンチのある味わいです。
- 代表産地:フランス・ローヌ地方。オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれ、同国の看板品種になっています。
- こんな人に:スパイスの効いた料理やバーベキューに合わせたい方、個性のはっきりした赤が飲みたい方に。
ガメイ
- 味わい:渋みが少なく、フレッシュでフルーティーな軽やかさが身上。ボージョレ・ヌーヴォーの品種として知られています。
- 代表産地:フランス・ボージョレ地区。
- こんな人に:軽めの赤を気軽に楽しみたい方に。少し冷やしてもおいしく飲めるタイプです。
白ワインの主要品種:この5つで違いがわかる
白ワインは「すっきり爽やか系」か「コクのあるふくよか系」か、そして辛口か甘口か、という軸で品種を捉えると違いがつかみやすくなります。
シャルドネ
- 味わい:品種自体の個性は控えめで、産地や造り方によって表情が大きく変わるのが特徴。樽熟成するとバターやナッツのようなコクが、ステンレスタンク仕込みではシャープでミネラル感のある味わいになるとされます。
- 代表産地:フランス・ブルゴーニュ(シャブリを含む)を筆頭に、カリフォルニア、オーストラリアなど世界中で栽培されています。
- こんな人に:白ワインの幅広さを知りたい方に。まず1品種というならこれです。
ソーヴィニヨン・ブラン
- 味わい:ハーブや柑橘を思わせる爽やかな香りと、キリッとした酸が持ち味。グラスに注いだ瞬間から香りが立つ、わかりやすい個性が魅力です。
- 代表産地:フランス・ロワール地方、ニュージーランド(マールボロ地区が有名)。
- こんな人に:すっきり爽快な辛口が好きな方、サラダや魚介の前菜に合わせたい方に。
リースリング
- 味わい:華やかな香りと美しい酸を併せ持ち、辛口から極甘口まで幅広いスタイルが造られる品種です。ほんのり甘いタイプは辛さのある料理とも好相性といわれます。
- 代表産地:ドイツ、フランス・アルザス地方。
- こんな人に:甘口ワインも試してみたい方、エスニックやアジア料理に合わせたい方に。
甲州
- 味わい:日本固有のぶどう品種。柑橘のような穏やかな香りと繊細な味わい、後口のほのかな苦味が特徴で、和食との相性の良さで知られます。
- 代表産地:山梨県。日本ワインを代表する白品種です。
- こんな人に:和食に合わせるワインを探している方、日本ワインの入口を探している方に。
ピノ・グリ
- 味わい:洋梨を思わせる厚みのある果実味と、穏やかな酸が特徴。まろやかでコクのある飲み口です。イタリアでは「ピノ・グリージョ」と呼ばれ、こちらは軽快ですっきりしたスタイルが主流とされます。
- 代表産地:フランス・アルザス地方、イタリア北部。
- こんな人に:酸っぱすぎる白が苦手な方、まろやかな白をゆっくり飲みたい方に。
日本のぶどう品種:甲州とマスカット・ベーリーA
上の10品種は世界の定番ですが、日本ワインの棚に並ぶ品種はこれとは顔ぶれが違います。日本で使われている量がいちばん多いのは、白が甲州(3,567t)、赤がマスカット・ベーリーA(2,388t)です。どちらもOIV(国際ブドウ・ワイン機構)の品種リストに登録されており(甲州は2010年、マスカット・ベーリーAは2013年)、ラベルにローマ字で品種名を書いてEUへ輸出できます。
甲州
- 味わい:柑橘のような穏やかな香りと繊細な味わい、後口のほのかな苦味。辛口からオレンジワインまで幅広く造られます。
- 産地:山梨県。同県の日本ワイン生産量の約6割を占めます。
- 合う料理:刺身・天ぷら・焼き魚など。出汁や素材の味を邪魔しないので、和食との相性で知られます。
マスカット・ベーリーA
- 味わい:渋みが穏やかで、いちごキャンディーにたとえられる甘い香りが特徴とされます。軽やかな赤から樽を使ったものまで幅があります。
- 産地:山梨・山形など。新潟の岩の原葡萄園で川上善兵衛がベーリーとマスカット・ハンブルグを掛け合わせて生んだ、日本生まれの品種です。
- 合う料理:すき焼き・照り焼き・みたらしなど、醤油とみりんの甘辛い味つけと合わせやすい品種です。
デラウェア・ナイアガラ・コンコード
- 味わい:もともと食用としておなじみのぶどうから造られるワイン。香りが華やかで親しみやすく、甘口も辛口もあります。
- 産地:デラウェアは山形・大阪、ナイアガラとコンコードは長野・北海道が中心です。
- 合う料理:甘口はフルーツやデザートと。辛口のデラウェアは前菜や軽い揚げ物に合わせやすいタイプです。
ケルナー・ツヴァイゲルト
- 味わい:ドイツ・オーストリア生まれの品種で、日本では冷涼な北海道で栽培されています。ケルナーは白で酸がきれい、ツヴァイゲルトは赤で渋みが穏やかです。
- 産地:北海道。
日本ワインの制度や産地ごとの違いは日本ワインとは——甲州とマスカット・ベーリーAで詳しく整理しています。
合う料理から品種を選ぶ
「今日はこれを食べる」が決まっているときは、料理から品種を逆算すると迷いません。
| 今日の料理 | 向く品種 | 理由 |
|---|---|---|
| ステーキ・焼肉 | カベルネ・ソーヴィニヨン/シラー | 脂と渋みが釣り合う |
| 鶏・豚のロースト | メルロー/ピノ・ノワール | 渋みが強すぎず肉の甘みを消さない |
| すき焼き・照り焼き | マスカット・ベーリーA | 醤油とみりんの甘辛さに寄り添う |
| 刺身・寿司 | 甲州 | 穏やかな香りが魚の風味を邪魔しない |
| 天ぷら・焼き魚 | 甲州/樽を使わないシャルドネ | すっきりした酸が油と塩を流す |
| サラダ・カルパッチョ | ソーヴィニヨン・ブラン | ハーブの香りが野菜と重なる |
| クリーム系パスタ・グラタン | 樽を使ったシャルドネ/ピノ・グリ | コクどうしが釣り合う |
| エスニック・スパイス料理 | リースリング(やや甘口) | ほのかな甘さが辛さをやわらげる |
| 生ハム・サラミ・チーズ | ガメイ/デラウェア(辛口) | 軽やかで塩気と合わせやすい |
| フルーツ・デザート | ナイアガラ/デラウェア(甘口) | 果実の香りがそろう |
※表は横にスクロールできます。組み合わせは目安です。料理から選ぶ具体例はレシピとペアリングの記事にまとめています。
品種から店で選ぶコツ
10品種の輪郭がつかめたら、あとは実際にワインショップで試してみるだけです。品種の知識は、店頭でこそ役に立ちます。
- 「品種+好みの度合い」で相談する:「ピノ・ノワールのような軽めの赤が好き」「シャルドネでも樽の効いていないもの」など、品種を軸に伝えると、店員さんとの会話が一気にスムーズになります。
- 好きな品種の「産地違い」を横に試す:同じソーヴィニヨン・ブランでも、ロワールとニュージーランドでは印象が変わります。品種を固定して産地を変えるのは、好みを深掘りする王道の方法です。
- ラベルに品種名がないワインは「産地→品種」で読む:フランスの伝統産地では品種でなく産地名を表記するのが一般的。「ブルゴーニュの赤=ピノ・ノワール」「シャブリ=シャルドネ」「ボージョレ=ガメイ」のような対応を覚えておくと、ラベルが読めるようになります。
- 迷ったら「今日の料理」から逆算する:肉ならカベルネやシラー、和食なら甲州、というように、この記事の「こんな人に」を料理に置き換えて選ぶのも実践的です。
東京には、品種や産地を指名して相談できる専門店がたくさんあります。フランス品種を深めたい方はフランスワインに強い東京のショップまとめ、ピノ・グリージョなどイタリア品種ならイタリアワイン専門店のまとめ、甲州をはじめ日本ワインなら日本ワインが買える東京のショップまとめもあわせてどうぞ。店舗はフランス・イタリア・日本ワインの特徴からも探せます。お近くの店を探すならトップページの検索をご利用ください。
あわせて読みたい:ワインショップ初心者ガイド / 日本ワインが買える東京のショップまとめ / 日本ワインとは——甲州とマスカット・ベーリーA
※掲載内容は取材時点の公式情報に基づきます。変更される場合がありますので、来店前に各店舗の公式情報をご確認ください。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
よくある質問
ワインのぶどう品種は、いくつ覚えればいいですか?
まずは赤5品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、メルロー、シラー、ガメイ)と白5品種(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、甲州、ピノ・グリ)の10個で足ります。世界中で広く栽培されていて、店の棚で出会う機会が多い品種です。日本ワインを飲むなら、これにマスカット・ベーリーAを足すと見当がつきます。
渋いワインが苦手です。どの品種を選べばいいですか?
赤ならガメイかピノ・ノワールです。ガメイはボージョレの品種で渋みが少なく、少し冷やしても飲めます。ピノ・ノワールは渋みが穏やかで、イチゴやチェリーのような香りが立ちます。日本ワインならマスカット・ベーリーAも渋みが穏やかな品種です。
甲州はどんな料理に合いますか?
刺身・寿司・天ぷら・焼き魚など、和食全般です。柑橘のような穏やかな香りと繊細な味わいで、出汁や素材の味を邪魔しません。後口にほのかな苦味があり、これが白身魚や野菜の天ぷらと合います。山梨県の日本ワイン生産量の約6割を占める品種です。
マスカット・ベーリーAはどんな味ですか?
渋みが穏やかで、いちごキャンディーにたとえられる甘い香りが特徴とされます。新潟の岩の原葡萄園で川上善兵衛がベーリーとマスカット・ハンブルグを掛け合わせて生んだ日本生まれの品種で、日本でいちばん多く使われている黒ぶどうです(2,388t)。すき焼きや照り焼きなど、醤油とみりんの甘辛い味つけと合わせやすい品種です。
ラベルに品種名が書かれていないワインは、どう読めばいいですか?
フランスなどの伝統産地では、品種ではなく産地名を表示するのが一般的です。「ブルゴーニュの赤=ピノ・ノワール」「シャブリ=シャルドネ」「ボージョレ=ガメイ」「ボルドーの赤=カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー」のように、産地と品種の対応を覚えると読めるようになります。日本ワインは、その品種を85%以上使った場合に品種名をラベルに書けます。
同じ品種でも産地が違うと味は変わりますか?
変わります。ソーヴィニヨン・ブランはロワールとニュージーランドで印象が異なり、シャルドネは樽熟成かステンレスタンク仕込みかで大きく表情を変えます。好みを深掘りするなら、品種を固定して産地を変えて飲み比べるのが近道です。
日本ワインの主要な品種は何ですか?
白は甲州(3,567t)、赤はマスカット・ベーリーA(2,388t)が最多です。どちらもOIV(国際ブドウ・ワイン機構)の品種リストに登録されています(甲州は2010年、マスカット・ベーリーAは2013年)。このほか、長野のメルローやシャルドネ、北海道のケルナー・ツヴァイゲルト・ピノ・ノワール、山形・大阪のデラウェア、長野・北海道のナイアガラやコンコードが使われています。